赤外線撮影の課題と問題点
有形文化財・埋蔵文化財の調査研究及び保存において,目視(可視光線)で確認をすることができない墨書や絵図などを調査する場合,赤外線による撮影や画像確認,近紫外線による蛍光反応撮影などがあります。経年劣化した土師器や須恵器などの土器,木管や棟札などの木材などに書かれた墨書文字の判読は,現在も研究者にとって大変頭を悩ます問題です。
従来の赤外線による撮影調査は,赤外線フィルムを使用しての撮影,赤外線専用カメラによるモニタリング,近年ではデジタルムービーやデジタルカメラなどの汎用デジタルカメラによる赤外線撮影機能を利用しているのが現状です。
以前に比べ,デジタル撮影機は性能が向上されましたが,須恵器や棟札などの素材自体が,酸化したり炭化物に覆われてしまっている場合,カーボンの残存が少ない場合,書かれている墨書文字や絵図を解読することは,相変わらず困難な状況です。
また,博物館において展示されている墨書土器や木簡なども,紫外線の少ない蛍光灯が使用されているものの長期間の展示により,墨書がうすくなって(劣化)しまうということも,避けられない問題となっています。
特殊光撮影システムの提案
弊社で開発しました特殊光撮影システムは,使用頻度の少ない転用硯に残存する墨の画像抽出や,従来撮影困 難とされてきました須恵器や,煤などの炭化物に覆われてしまっている棟札などの墨書の赤外線撮影も可能にしました。
装飾古墳の彩色壁画や図文,色彩を施してある絵馬などの色彩画などの有形文化財には,赤外線・カラー赤外線 の撮影と合わせて,フォトルミネッセンスや蛍光反応を利用した色彩抽出撮影をすることで顔料の残存状況,くすんでしまった色彩の抽出などが可能です。
また,写真計測の技術を応用することにより,ミリ単位の高精度な図化もできます。通常の赤外線撮影においても 画像解析の品質の良さに,多くの研究者から好評をいただいております(独自開発技術)。
特殊光撮影画像例
撮影画像例1 撮影対象:棟札【材質:杉板】(撮影協力:古河歴史博物館)
可視光線による通常画像
赤外線撮影画像
写真計測による正射投影図
撮影画像例2 撮影対象:墨書銘須恵器(撮影協力:水戸市教育委員会)
可視光線による通常画像
赤外線撮影画像
色彩付赤外線画像
特殊光撮影調査価格表
名称 | 内容 | 単価 | 備考 |
撮影基本料 | 打合せ・赤外線テスト・撮影セッティング 他 | ¥30,000(税別) | 1点当たり 50cm×50cm |
赤外線撮影 ・カラー赤外線撮影 | |||
撮影点数3点まで | |||
追加撮影料 (1点当たり) |
赤外線撮影・カラー赤外線撮影 | ¥30,000(税別) |
1点当たり 50cm×50cm |
色彩抽出撮影 | |||
蛍光反応撮影(フォトルミネッセンス) | |||
簡易写真測量 | 図化作業(文字数5文字まで) | ¥5,000(税別) | 6文字以降 1文字当たり500円増し |
図化作業(絵・模様・他等) | 応談 | ||
出張撮影料 | |||
技術者派遣費 | 現地撮影 | ¥50,000(税別) | 2名派遣 1名当り¥25,000 |
交通費 | 旅費交通費 | 別途 | 実費(応談) |
※撮影対象物(遺物)の遺存状態により撮影結果が異なります。お気軽にご相談下さい。